1. HOME
  2. ブログ
  3. “3月18日” 「蚤の目大歴史366日」 蚤野久蔵

“3月18日” 「蚤の目大歴史366日」 蚤野久蔵

*1984=昭和59年  グリコ・森永事件などの発端となるグリコ社長誘拐事件が起きた。

午後9時過ぎ、兵庫県西宮市の江崎勝久・江崎グリコ社長(当時)宅に白い目出し帽姿で拳銃などを持った3人組の男が押し入った。男らは家族をロープや粘着テープで縛ってトイレに閉じ込め、子供と入浴中だった江崎社長の頭に布袋をかぶせて車で連れ去った。

110番通報を受けた兵庫県警は強盗事件として緊急配備するが翌未明に大坂・高槻市の同社役員宅にかかった電話から市内の電話ボックスに置かれた封筒入りの脅迫状が発見される。
そこにはワープロで

「人質はあづかった 現金10億円 と 金100kg を よおい しろ」
「現金と金を 白かアイボリー色のライトバンに乗せて あしたの午後5時までに・・・」
とあった。

強盗事件は脅迫・監禁、身代金目的の誘拐事件に変わる。犯人がのちに<かい人21面相>と名乗ったことから「かい人21面相事件」、正式には「警察庁広域重要指定114号事件」と呼ばれた事件のはじまりだった。

江崎社長は3日後の21日午後、監禁されていた大阪・摂津市の水防倉庫から自力で脱出して事件は終息するかに見えたが、その後、同社だけでなく丸大食品、森永製菓、ハウス食品などの食品企業が「店頭商品に青酸を入れる」などと脅された。

関西弁の脅迫状の「かい人21面相」、目撃された「キツネ目の男」、「青酸ソーダ」、「声紋鑑定」、「重要参考人M」とマスコミが報道合戦を続けたかってない<劇場型犯罪>だった。投入された捜査員は延べ130万人、捜査対象は12万人以上にのぼったとされる。

それにもかかわらず2000年のこの日午前零時、すべての事件の公訴時効が成立した。

*1891=明治24年  新橋鉄道局管内の列車の車内暖房装置「温脚器」が廃止になった。

「温脚器」とはつまり「湯たんぽ」。毛布とセットで湯たんぽに脚を乗せ、ひざに毛布を掛けてポカポカという仕掛け。冬季に上・中等の客に限り提供していた。スチームが普及したため廃止したがなかなか気のきいたサービスじゃありませんか。とはいっても用意するほうは大変だったでしょうねえ。これ『鉄道百年史』にも載っていない<裏話>だそうで。

*1749=寛延2年  大坂・北の新地の元遊女が兄殺しの罪で市中引き回しのうえ処刑に。

名前は「かしく」。おとなしくて従順なところを見込まれ身請けされたがひとたび酒が入ると人が変わってしまう<酒乱癖>があった。心配した兄の吉兵衛に何度もいさめられるがいっこうに直らない。あげく、意見されたのに逆切れし吉兵衛を刺してしまう。

妹を親身に案じてくれた実の兄を殺しただけに奉行所で申し渡されたのは死罪。かしくは最後に油揚げを所望、その油で髪を撫でつけて刑場へと引かれて行った。死の間際にも女としての身だしなみを忘れない奥ゆかしさが市井の評判となり浄瑠璃の『八重霞浪花浜荻(やえがすみなにわのはまおぎ)』などに仕立てられて人気となった。

かしくの墓は大阪市北区曽根崎の通称「かしく寺」法清寺にある。死に際のことばが「われ酒に乱れぬ神霊とならん」だったと伝わる。いつのころか墓に参れば「酒が絶てる」とか「酒に乱れない」といわれるようになる。以前は「墓石のかけらを煎じて飲むとよい」などの俗信も生まれたそうだが、いまは代わりに「よいまもり=酔い守り」が授与される。

命日には「かしく祭り」で大にぎわい。今も昔も<酒で悩む>人は多いらしい。それにしても彼女、キツネでもないのに椿油ではなく油揚げをリクエストしたのはなぜ。

*1965年  ソ連の宇宙飛行士が人類史上初めての「宇宙遊泳」を行った。

「ボスホート2号」に乗ったアレクセイ・レオーノフ飛行士で、長さ5メートルの命綱をつけ約20分間活動した。アメリカが宇宙遊泳に成功するのは3ヶ月後の6月3日で「ジェミニ4号」からエドワード・ホワイト飛行士が行った。当時、ソ連とアメリカは激しい宇宙開発競争を繰り広げていた。この船外活動ではソ連が<鼻の差リード>だった。

直接宇宙に出ると真空状態、強い紫外線、高温などの<悪条件>に直接さらされる。命綱には宇宙船から酸素を供給していたが万一、宇宙服に穴があく可能性もあるしそうなったらどう対処するのか。さまざまな関心事に<にわか専門家>がああでもないこうでもないと解説した。

宇宙遊泳は「spacewalk」と英訳されて流行語になった。せっかくの<遊泳>が<歩く>ではしっくりこなかったけど。

関連記事