書斎の漂着本

書斎の漂着本(84)蚤野久蔵 果心居士の幻術

のちに作家となる司馬遼太郎は産経新聞京都支局で「宗教記者」をしていたことがある。聞き慣れないかもしれないが東西本願寺を始め社寺が集まる京都には「宗教記者クラブ」がいくつかあり、宗教担当のことをそう呼んでいた。同時に京都大...

書斎の漂着本(83)蚤野久蔵 アトランチス大陸研究

「いまや地球に未解明な場所なんかどこを探したってないでしょう」と言われそうだが、衛星写真が普及するまでは<地図の空白地帯>が多くあったし、最近でもマレーシア航空機は行方不明から1年以上経つのに機体さえ見つかっていない。私...

書斎の漂着本(82)蚤野久蔵 雪後庵夜話

「自分でも呆れてしまうこと」のひとつは同じ本を複数買ってしまうことだろうか。サラリーマン生活最後の東京時代には数日前に宅配専門本屋さんに注文したのを忘れ、会社の昼休みにのぞいた大型書店の新刊コーナーで「あっ、これこれ」と...

書斎の漂着本(81)蚤野久蔵 花の木登り協会

予備校まで暮らしていた広島の実家の庭先には大きな柿の木があった。直径60センチほどの幹は「ピサの斜塔」くらい傾き、高さ2メートルほどのところで「ねじれたT字形」になった2本の太い枝が横に伸びていた。小学生のころには「危な...

書斎の漂着本(80)蚤野久蔵 団塊の世代

「団塊の世代」なる用語は堺屋太一の『団塊の世代』(講談社)で、時事用語という枠を超えてわが国の現代史に定着した。「団塊の世代」とは1947年(昭和22年)から3年間にあたる「第一次ベビーブーム」に生まれた世代で、厚生労働...

書斎の漂着本 (79) 蚤野久蔵 どろんろん

「最後の忍者」と呼ばれた甲賀流忍術十四世・藤田西湖の『どろんろん』(日本週報社)が書庫の奥から見つかった。「これぞまさに<本隠れ>の術!」とつぶやいてはみたが、本が隠れるわけはないので単に整理が悪いだけ。三重県伊賀市で活...

書斎の漂着本(78)蚤野久蔵 第2ブラリひょうたん

のっけから変わった感想かもしれないが、高田 保の『第2ブラリひょうたん』(創元社)はなぜ「続」としないで「第2」にしたのだろうと。というのは作曲家の團伊玖磨が人気エッセイ『パイプのけむり』の続編に、続、続続、又、又又、ま...

書斎の漂着本(77)蚤野久蔵 筑豊炭鉱絵巻

4年前、山本作兵衛翁が残した「筑豊の炭鉱画」がわが国初めてのユネスコの世界記憶遺産に選ばれたときはうれしかった。『筑豊炭鉱絵巻』(葦書房、昭和52年)の『ヤマの暮らし』を持っていたからである。たしか出張の合間にのぞいた小...