書斎の漂着本

書斎の漂着本(76)蚤野久蔵 世界最長の徒歩旅行

ジョージ・ミーガンの『世界最長の徒歩旅行』(中央公論社、1990)は、副題のように南北アメリカ大陸縦断3万キロを<ひたすら歩き通した>ノンフィクションである。イギリス生まれのミーガン青年は実に7年がかりで八つのギネス記録...

書斎の漂着本(75)蚤野久蔵 南太平洋ひるね旅

北杜夫の『南太平洋ひるね旅』(昭和37年=1962)は往年の新潮社ポケット・ライブラリの一冊である。「どくとるマンボウ」シーリーズの随筆や『楡家の人々』、『白きたおやかな峰』などの小説を仲間内では一番多く読んだが、読み終...

書斎の漂着本(74)蚤野久蔵 雨の夜明けの物語

何とも不思議な題名ではないか。『雨の夜明けの物語』は時事通信社から昭和49年(1974)に出された『京都の記録』(1-6巻)の「別巻・聞き書き集」である。本体のほうは場所を取るので、とっくの昔に処分したのに関係者から直接...

書斎の漂着本(73)蚤野久蔵 續綴方教室

綴方とはいまの作文のことである。<天才綴方少女>といわれた豊田正子の『續綴方教室』(中央公論社)は、昭和14年(1939)1月に出版されている。「續」だから当然、「正」にあたる『綴方教室』があって、2年前の同12年に出版...

書斎の漂着本(72)蚤野久蔵 ぼくは豆玩

豆玩は「おまけ」と読む。江崎グリコの「オマケ係」として生涯に約3千点もの豆玩を考案した宮本順三の『ぼくは豆玩』(インテル社)である。 拙者は生まれながらグリコのオマケ係である。拙者にはもっと歴とした難しい役名があるけれど...

書斎の漂着本(71)蚤野久蔵 年年歳歳

阿川弘之の『年年歳歳』は新潮社版の全集=『阿川弘之全集』で読んだ記憶がある。あるいは講談社版の『日本現代文学全集』だったか。図書館で借りて、いや短編なので借りずに館内で読んだか、その辺はあやふやであるがいずれにしても社会...

書斎の漂着本(70)蚤野久蔵 文章讀本

三島由紀夫『文章讀本』(中央公論社)の外函は三島のイニシャル「Y・M」をあしらった円を六つ並べたデザインである。表紙は鳶(とび)色の和紙に天武天皇も愛した朱華(はねず)色の背布が配してある。<雑文屋>の私にとって名文家諸...

書斎の漂着本(69)蚤野久蔵文房具

登山家、エッセイストとして研ぎ澄まされた独特な響きのある文章を多く残した串田孫一が「机上の小物たち」への愛着を綴った『文房具』である。月刊専門誌への連載が、1978年(昭和53年)に白日社から単行本として出版された。 身...