おとなはみんな子供だった

A rainbow William Wordsworth My heart leaps Up when I...

地下に輝く黄金の上で

                                          成田守正 地下に輝く黄金の上で育った。滅すればそこへ帰る――と口には出さないものの、内心では思ってきた。三歳から十三歳まで宮城県の大谷鉱...

母のこと、そしてあの時

藍野裕之   4歳ちがいの弟とお袋を病院に連れて行った。腰は曲がり、杖を突いて歩くのにも苦労していたが、まだ手を引くほどではなかった。駐車場でお袋をおろし、前を歩くお袋にふたりでついて行った。「ずいぶん小さくな...

トンビやウグイスがいた、あの日

                                 草野頼子 六十年ほど前、まだ私が幼かったころ、好天の青空にはときおりトンビが滑空していました。春先になると庭の木にウグイスがやってきて、ケキョケキョと拙か...

アキラの豪速球

  藍野裕之   わたしは東京・池袋に生まれた。西口をしばらく歩いて立教大学の近くの四畳半のアパートに住んでいたらしい。千葉の九十九里から東京に出てきた親父は、池袋で鳶になった。「三越の工事を請け負っ...

至福と苦痛の七分間

和氣元  まだ麻雀も知らぬ小学五年のころ、四人組のガキどもはいつも一緒でした。 「ジャラ」は質屋の長男で、親父さんが笑いながら言うには、逆子で産まれそうになったので、これはまずいと親父さんは、手元にあった何枚かの小銭を掌...

きみが嘘をついた

坂崎重盛  ちょっとした言い逃れのためや、さらに悪質なオレオレ詐欺、議事堂でのお偉いさんまで、大人の嘘は日々、アクビが出るほど見聞きしているが、どっこい、子供だって嘘をつく。  いや、現実と想像の世界が、きちんと分化して...

夕陽ふたつ

 山田幸伯   この八月で満六八になる。ちょうど四〇年前に死んだ父は五八だったから、親よりまる一〇年生き延びた勘定になる。 この歳になっても少年時代の夢をよく見る。ほとんどは中学、高校の頃の情景で、なぜかそれよ...