新・気まぐれ読書日記

新・気まぐれ読書日記 (46) 石山文也 孤道

「浅見光彦シリーズなどで知られる作家、内田康夫さん(82)が休筆宣言」という気がかりなニュースが3月中旬に一斉に報道された。一昨年夏に脳梗塞に倒れ、小説の執筆が難しくなったという。毎日新聞夕刊に連載していた『孤道』もやむ...

新・気まぐれ読書日記 (45) 石山文也 昭和十八年幻の箱根駅伝(その2)

選手たちはひとかたまりになって、三宅坂の陸軍省前を通過、虎ノ門から三田の慶応義塾前を通り、札の辻で旧東海道の京浜道路(国道15号線)に入った。品川を過ぎる頃には先頭集団が絞られてきたなかで意外にも頭一つ抜けたのが立教、こ...

新・気まぐれ読書日記 (44) 石山文也 昭和十八年幻の箱根駅伝(その1)

通算93回目となる今年の箱根駅伝は青山学院大学が圧倒的な走りで戦後初、3年連続の完全優勝を飾った。往路復路とも沿道に多くの応援の観衆を集め、常に「伝統の」を冠して紹介される大会も太平洋戦争の直前、軍部の圧力により昭和15...

新・気まぐれ読書日記 (43) 石山文也  酔眼日記

<緑陰読書>にちょうど良さそうと購入したが、ヒマな日に限って雨。キャンプのお誘いもこないうちに読了した。本山賢司の『酔眼日記』(東京書籍)は建設業界誌などに寄稿した約100作を一冊にまとめた。「旅と酒」なら当方も負けはし...

新・気まぐれ読書日記 (42) 石山文也  オライオン飛行

どんな風の吹き回し?と言われるかもしれないが、久しぶりに恋愛小説を紹介しよう。あれ、苦手ジャンルじゃなかったの?と問われれば、読むのはいいけどここに書くのは、とはぐらかしておく。『群像』連載中から話題になった高樹のぶ子の...

新・気まぐれ読書日記 (41)  石山文也 旅の食卓

北海道の石狩鍋から九州屋久島の焼酎を使った豚骨まで、紹介される「忘れられない味」はどれもが思わず<食欲が湧いてくる>のが不思議だ。エッセイストでドイツ文学者、池内紀のおとなの旅日記『旅の食卓』(亜紀書房)は、写真ひとつな...

新・気まぐれ読書日記 (40) 石山文也 残夢の骸

『残夢の骸』(新潮社)は船戸与一が足掛け10年以上、最後は肺がんの余命告知を受けて残された体力を削りながら書いた『満州国演義』全9巻の完結作である。昨年春、たまたま古書店で入手した前作の『南冥の雫』を読もうとした矢先、船...

新・気まぐれ読書日記 (39)  石山文也 奇妙な孤島の物語

新刊コーナーで珍しく衝動買いした一冊である。『奇妙な孤島の物語―私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島』(河出書房新社)。著者のユーディット・シャランスキーは、1980年に旧東ドイツの北東部、ポーランド国...