書斎の漂着本

書斎の漂着本  (12) 蚤野久蔵 私の日本地図

「旅する巨人」ともいわれる昭和を代表する民俗学者、宮本常一の『私の日本地図』は、東京・本郷の同友館から発刊された<不思議な>シリーズである。理由は後にするが、宮本の徹底した調査の旅は日本列島のすみずみまで印され、それを物...

書斎の漂着本  (11) 蚤野久蔵 焼夷弾

太平洋戦争末期の昭和19年(1944)10月15日に東京・神田の創元社から「科学の泉」シリーズ(16)として出版された『焼夷弾』という<啓蒙本>である。四六版でわずか67ページだが、奥付から5,000部が印刷されたことが...

書斎の漂着本  (10) 蚤野久蔵 沖縄の闘牛

復帰前の沖縄・コザ市(現・沖縄市)で1966年1月に出版された『沖縄の闘牛』という初のガイド本である。新書判で214ページ。巻頭の写真14枚がモノクロながら当時の闘牛場の熱気と興奮を伝える。 「激闘!角と角がきしみ合う猛...

書斎の漂着本  (9)  蚤野久蔵 カムチャッカ探検旅行記

スウェ―デン生まれの生物学者で探検家ステン・ベルグマンの『カムチャッカ探検旅行記』(学藝社、1935)である。 ベルグマンは大正9年(1920)年6月に新婚の妻と動物、植物、地質、鉱物の専門家の4隊員を率いて未知の半島だ...

書斎の漂着本  (8)  蚤野久蔵 モダン用語辞典

昭和5年(1930)11月に実業之日本社から発行された『モダン用語辞典』である。 写真では大きく見えるかもしれないが縦15cm×横9cmのいわゆるポケット辞書で、全553ページ、定価は1円30銭。巻末広告の「洗練されたる...

書斎の漂着本  (7)  蚤野久蔵 地中の秘密

考古学趣味が高じて自宅庭に「太古遺物陳列所」まで作ってしまった江見水蔭(えみ・すいいん)の『探検實記地中の秘密』(博文館、明治42年=1909)である。 ご覧のように痛みがひどく、タイトルと著者名の赤い文字が消えかかって...

書斎の漂着本  (6)  蚤野久蔵 夏の狐

本が好きだった父の本棚のいちばん奥にあった一冊で、先だって帰郷した際に見つけた。昭和22年(1947)2月に大坂市南区松屋町4の三島書房から発行された井伏鱒二の随筆集『夏の狐』である。 最初の家を建てたときには、設計も得...

書斎の漂着本  (5)  蚤野久蔵 旅復刻版

旅行雑誌『旅』の創刊65周年、750号となるのを記念して昭和63年(1988)9月に日本交通公社から出版された復刻版である。東京・西荻窪に住んでいたころに行きつけの古書音羽館で手に入れた。ずっと本棚に置きっぱなしにしてい...